子どもの将来のために、何を身に着けないといけないのか?激動の社会変化に対応するために社会人は何を考えないといけないのか?それを考えることができる本です。
近い将来、AIによって仕事が淘汰される時代がやってきます。AIで仕事を失った人たちは、誰にでもできる低賃金労働に再就職するか失業するかの選択に迫られるようになります。その後やってくる未来は、「AI恐慌」とでも呼ばれる世界的恐慌であり、2007年のサブプライムローン問題によるリーマンショック以上の大恐慌になる可能性があります。そのストーリーの回避のために、「奪われた職以上の職を生み出す」以外の選択肢は無いと問題定義されています。 また、「シンギュラリティ」とは、SF映画『ターミネータ』『アイ・ ロボット』のように、ロボットが人間を支配できる技術・超えた能力を指します。著者・新井紀子先生は、そんな時代は「こない」と断言しました。ただ、AIがもたらす技術革新によって、仕事の在り方が変わるので、失われる仕事があるため、その準備すべきだという警告です。また、子どもや社会人にとって、今から学習レベルをあげることは何かを提言しています。答えは最後に! AIの限界を正しく認識するために、2011年、「ロボットは東大に入れるか」を実験する人工知能プロジェクト「東ロボくん」が発足しました。しかし、最初からプロジェクト・メンバーは限界を感じていたそうです。そして、MARCH( 明治大学・青山学院大学・立教大学・中央大学・法政大学・学習院大学)は合格させるレベルまで開発に至ったが、東京大学に合格させることはできなかった。その理由は、数学・世界史は得意だけど、国語と英語は難しいという結果でした。 「シンギュラリティ」の時代が来ないと、東大に合格できない。それらの理由は、AI技術は数学ができること、論理・確率・統計の3つだけであり、言葉の意味を理解することができないからです。東京大学に合格するためには、言葉の意味を解釈する問題が多いことから、その意味を考えることができないAI技術では不可能です。現に、Siri(シリ)に話しかけて、「近くのイタリアン料理」と「近くのイタリアン料理以外」「近くのまずい(おいしい)イタリアン料理を除く」と言っても、すべて、Siri(シリ)の答えは同じです。それは、意味を考えることができないからです。 第2次世界大戦後・高度経済成長から行われている教育とは、学習において暗記、公式の使い方や成り立ち、応用事例を学ぶことが主体となっている教育です。それは、論理・確率・統計といった数学的な思考能力が強く、AIが補ってくれる部分とライバルとして、戦う準備をして、どうするんですか?と訴えているように感じます。 そして、重要なことは「読解力(意味を理解する力)」だと断言しています。中高生の「基礎的読解力」はどうなんだろう?と思い、「読む力」を測る リーディングスキルテスト(RST)を開発しました。テストを実施した結果、中学生の3人に1人、高校生の10人に3人が簡単な文章が読めないことが判明したと言います。また、難関校や一流問われる企業に就職ができる子どもたちは、「基礎的読解」が高いということが調査で分かってきたそうです。「基礎的読解」が高いとなんでも、後から何とかなるということらしいです。 新井先生は、仮設として、読書週間、普段の学習習慣、得意科目を作るなど、あらゆる観点で読解力を高めるための方法を調査した結果、法則はなく、「基礎的読解」を高める方法は分からないとのことです。しかしながら、年齢は問わず、いきなり「基礎的読解」が高まるらしく、あきらめないでほしいと言っております。 そして、今、必要な力とは、新しいことを常に受け入れることができる理解力、読解力、そして、コミュニケーションであることを改めて認識すべきです。 所 感 親は、子どもに対して、基礎学習能力を高めて、いろいろなことにチャレンジができるようにするため、塾・進学教室・いろいろな資格を取ることで、安心と子供の将来の可能性を広げたいことは理解できます。しかし、塾・進学教室・いろいろな資格は、経済活動の一環として、昔からの終身雇用企業で働くための土台を身に着けるための手段であり、新しい時代では頭でっかちな教育、レガシーな教育であり、世の中の職の環境変化と逆行した学習方法が続いています。それは、日本社会がおかしくなり、上司は外国人、日本人は、安い労働で働かされる、貧困層拡大へとつながると警告しています。何を今学び、何を準備するかは、実は昔も今も変わらないと思います。それは、「人から学ぶこと」です。「基礎的読解」を高める方法としては、いろいろな人、特に自分よりスペックが高い人との交流、世界の人との交流、趣味や強みをもった自分らしさをもって挑むということを増やす必要性があると思います。 余談ですが、大学時代の学問のテーマは、AIでした。ちょうど、第2次AIブーム(エキスパートシステム)です。学生時代に学んだ教授の答えは、「コンピュータは、人間のひらめきはできない」でした。現在の仕事上、本でも紹介されたYOLO(You Only Look Once)アルゴリズムやディープランニングのソフトウエア開発を行っており、技術を知らない人からは、なんでもできると勘違いされ困ることがありますが、現在の技術での限界はあることは感じていましたが、本を読むことで理解を深めることができました。 PS: 現在、代々木ゼミナールにて、「読む力」を測る リーディングスキルテスト(RST)が有料で行われております
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