孫子の兵法は、勝つための本質と方法を説いています。現代社会でも、生きる教科書です。
勝つことへのこだわり
格闘技でも、武道でも、試合があれば、勝つことへの執着や目標達成のためには見境なく相手を叩き潰すべきと考えるコーチや選手を見かけます。無論、練習も勝負もこだわりもエスカレーションすることは仕方がないかなと思うこともあります。孫子の勝つことへの着眼大局 がすばらしいです。戦うということを広くとらえ、道徳とリアルな戦場を考え抜いた孫子の兵法は、悩んだときの知恵となり、策となると思います。勝ためには、我慢をすること、争いをしないこと、戦わずして勝つこと、戦う場合は一機に戦うこと、勝者は敗者を生かすこと、利用すること。人間関係を巧みに考えぬいています。目先の勝利だけにこだわることは小さいことに気づくはずです。
兵法の極意は人間関係
格闘技が強い、試合で勝つということは、本人の努力のたまものです。尊敬に値します。ただ、孫子の兵法の極意を獲ると、相手に対する思いやり、相手との人間関係づくりは、単に競技で勝つ以上のことを得ることができます。競技で勝つことは手段であり、いろいろな物事へ関係する人との関係をどう構築して、勝利(自分が思う結果か、それ以上のものを獲る)ための手法を身につけることができます。
孫子・全13篇
孫子の教えを要約しました。
1篇 始計「無謀な戦争はしない。戦争を決断する前に、戦争をするべきか避けるべきか、被害の大きさなどを考える。」
→感情任せに戦いをしないこと。それは損得で言えば考えるほうが得に転じることが多い。
2篇 作戦「戦争を長期化させない。戦争が長期化しても国の利益にはならない。」
→新しいチャレンジをするときに、無用な消耗を食い止める。思慮深さが必要です。
3篇 謀攻「戦わずして勝利を収める。百戦百勝が最善ではない。戦闘を行わずに敵を降伏させることがベストである。」
→成功を周囲に模倣される可能性がある。すべての場面で成功のみを追求することが必ずしも最善とは限らない。いろいろな観点で分析する力が必要です。
4篇軍形「防御を強化し勝利の形を作る。防御の形を作ると兵力に余裕が生まれるが、攻撃の形を作ると兵力が足らなくなる。攻撃はチャンスを見て素早く行う。」
→勝てる状況を作り上げ、競合に対する優位性を確保する。
5篇 兵勢「兵を選ばず、自軍の勢いを操る。戦闘が開始される際の勢いを巧みに利用する。」
→周囲が自然と盛り上がる状況を作る。
6篇 虚実「 主導性を発揮する。敵が攻撃できないように、敵が防御できないように戦う。敵を思いのままに操り、自軍は操られない。」
→先手を打ってビジネス環境を整える。
7軍争篇 敵よりも早く戦地に着く。まわり道をいかに直進の近道にするか。兵士の集中を統一し、敵の気力を奪う。
→最大の事前準備は自分が先手先手を打っておくこと。
8篇 九変「将軍は戦局の変化に臨機応変に対応し、危険を予測する。敵に攻められても大丈夫な備え、攻撃させない態勢をとる。」
→リスクは変化する。状況の変化にすばやく対応する必要がある。
9篇 行軍「戦場では敵の事情を見通す。戦争は兵士が多ければいいものではなく、集中して敵情を見れば、勝利することができる。」
→メンバーとコミュニケーションを良くとり、状況を可視化することが重要。
10篇 地形「地形に合った戦術を用いる。優れた将軍は自軍・敵軍・土地のことを考えて行動する。」
→事業環境に沿って戦略を練ったり、上司・目上・先生・先輩タイプによってコミュニケーションのスタイルを変えたりすること。
11篇 九地「地勢に合った戦術を用いる。はじめのうちは控えめに、チャンスができたら一気に敵陣深くに侵入する。」
→成功体験に固執しない。一度成功した方法が次も成功するとは限らない。
12篇 火攻「利益にならない戦争は起こらない。火攻めは水攻めと違って物資を燃やすことができる。滅んだ国は再興せず、死んだ者は生き返らない。
→一石二鳥の戦略や戦術があれば、それを選ぶ。
13篇 用間「情報の価値は非常に重要である。情報収集を怠らないこと。」
→ 無駄な戦いをしないためにも情報戦略は勝利の一歩。
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